農水省は8月30日、公正取引委員会、中央酪農会議と共同で、「生乳の適正取引推進ガイドライン等説明会」をオンラインで開催した。酪農家をはじめ、全国の酪農・乳業関係者約200人が参加した。
説明会では、7月に改訂した「生乳の適正取引推進ガイドライン」と、酪農家向けに作成したパンフレット「酪農経営の安定のための生乳取引に向けて」について説明。適正な生乳取引と、今年4月に改正した畜産経営安定法(畜安法)省令の内容も踏まえ、取引上問題となる事例や注意点を紹介した。
同省牛乳乳製品課の平田裕祐課長補佐は、生乳取引において、独占禁止法や農協組合法、畜安法上問題となる事例として、農協による販売事業の強制や不明瞭な手数料の徴収などを紹介。関係法令への理解と遵守を呼びかけた。
また酪農家に対し、「生乳の出荷先を自身でしっかり考え、自らの意思で選択・契約することが重要」とし、指定事業者(指定団体)が集乳を拒む正当な理由となる「季節変動を超えた増減」や「申出期限を経過した後の申し出」について説明した。「酪農家が(出荷先との)契約内容と異なることを一方的に行うと契約違反となる。計画内容をよく確認し遵守してほしい」と呼びかけた。
公取委は、農協と組合員との間で「不公平な取引」にあたるケースを説明。▽系統外(自主流通)に出荷している組合員に対し、農協が不利な取り扱いをする「取引条件等の差別的扱い」▽系統外出荷を禁止する「排他的条件取引」▽組合員が出荷する農畜産物の出荷・販売高に応じて賦課金を新たに徴収し、当該額を販売手数料から減額することで、農協以外に出荷する組合員に新たな負担を義務付ける「優越的地位の濫用」―などは独禁法違反に当たる恐れがあるとして注意を呼びかけた。