能登半島を中心とした大地震の影響で、ホリ乳業(金沢市、堀初治社長)が同市内に建設中の新工場に被害が発生した。殺菌タンク10本が台座から滑り落ち、コンクリートにも損傷が確認された。新工場は2月半ばの稼働を予定していたが、延期は避けられないとみられる。
「70年の人生でこれほど怖かったのは初めて」
堀社長は、大地震に見舞われた昨日の状況をそう振り返る。前震は横揺れ程度だったが、その4~5分後に発生した本震では、建物全体が右へ左へと交互に30度近くも激しく揺れたという。石川県沿岸に津波警報(能登半島は大津波警報)が発令され、金沢市内の犀川を津波が遡上してくる恐れもあったことから、本社・工場に残っていた従業員約10人をすぐに避難させ、自身も母親と一緒に病院の3階に逃げたそうだ。
幸い工場に大きな被害はなかった。当初は井戸水が濁っていたが、一晩中出しっぱなしにしておいたら綺麗になり、2日午前10時現在、問題なく操業できているという。ただ、新工場では施設・設備の被害が確認された。堀社長は「2月半ばの稼働に向け、試運転の段階にきていた。稼働は延期しなければならない可能性がある」と声を落とす。
北陸最大級の乳業メーカー、アイ・ミルク北陸(石川県能美市)では、一部設備が被害を受けたものの、操業自体に問題はなく、牛乳などが生産されている。ただ関係者によると、車両確保や交通規制の問題などで商品の物流面では不透明な部分があるという。