1日午後4時過ぎの能登半島各地の震度(金沢地方気象台ホームページ)
1日午後4時過ぎの能登半島各地の震度(金沢地方気象台ホームページ)

 大地震に見舞われた能登半島を中心に、牛舎の倒壊など酪農経営に大きな被害が発生している。地元酪農協による2日夕現在の調査では、最大震度7を記録した志賀町をはじめ、能登半島で営農する酪農家十数戸で停電・断水が続き、搾乳できない事態となっている。牛舎に続く道路も寸断されミルクローリーが近づけず、生乳廃棄を余儀なくされている。

 石川県酪農協によると、南北に長い同県の中部以北で酪農被害が発生している。中央部に位置する川北潟地域(内灘町)の酪農団地では、停電は発生していないものの断水が続き、乳牛用の飲料水やミルカーの洗浄水を給水車で運び続けているという。

 震源地に近い北部エリア・能登半島(珠洲市、輪島市、能登町、穴水町、七尾市、志賀町)では、さらに被害が深刻だ。最大震度7を記録した志賀町では酪農家1戸の牛舎が傾いた。震度6強の珠洲市では1戸の牛舎が倒壊し乳牛が下敷きになった上、複数戸の牛舎が傾いており、余震が相次ぐ中で倒壊の危険をはらんでいる。エリア全体で停電と断水が続き、1日夕以降、搾乳中止を強いられている状況だ。

 能登半島の付け根に位置する七尾市より先は、主要道路が陥没・隆起や土砂崩れに見舞われ、ミルクローリーが通行できない状態。

 石川県酪農協は「被害状況の詳細は調査中だが、2日時点では、県内の酪農家が大きなケガに見舞われたなどの報告は受けていない。だが、十数戸が営農している能登地方を中心に被害が大きい。七尾市より先は道路状態が悪く、現地に向かうのもままならない。通常なら自動車で数十分の道のりが、道路の陥没・隆起や交通渋滞などで半日以上かかる。まずは実態把握に努めたい」としている。