能登半島地震の発生から2日目となり、現地の酪農家の様子が少しずつ明らかになってきた。
半島先端の能登町で搾乳牛50頭弱を飼養するAさんの牧場は、内陸に位置するため津波の被害はなく、牛舎などの倒壊も免れることができた。幸い電気も止まらなかったため、パーラーで搾乳もできている。
だが、生乳は出荷できず廃棄を余儀なくされている状態。地震直後から断水が続いている上、井戸水も茶色く濁っており、パイプラインなどをしっかり洗浄できないためだ。道路の寸断でミルクローリーも牧場まで来られないという。
こうした状態がいつまで続くか分からないため、Aさんの牧場では配合飼料の給与を止めて乳量を抑制、エサを自給飼料の牧草サイレージへと全面的に切り替えた。
「うちはまだ自給飼料があるからいいが、能登半島には購入飼料主体の酪農家が少なくない。道路が復旧しなければエサ不足になってしまう。うちのエサを届けに行きたくても、道路が寸断していて行けない」。自身も大変な状況だが、仲間に助けの手を差し伸べることができず、もどかしい思いが募る。
道路の被害全容は不明だが、復旧には相当の時間がかかるとみられており、半島先端の能登町や珠洲市などの酪農家(7~8戸)は生乳廃棄の状態が続く恐れがある。停電に見舞われている牧場も少なくなく、改めて自家発電機の重要性を指摘する声も聞かれる。