畑に点在する麦稈ロール
畑に点在する麦稈ロール

 〔札幌〕乳牛の敷料としても広く利用されている「麦稈(ばっかん)ロール」。夏に行われる小麦の収穫後の畑に残った麦わらを専用機械で集めて丸めたものだが、その麦稈ロールの需給が今後、北海道でかなりタイトになりそうだ。天候不順の影響で今年産の出来が振るわず、敷料用に仕向けられる良品の発生が限定的だったとみられるのが背景にある。

 麦稈ロールは元々、サラブレッド馬の寝わらとして利用されていたものが、乳牛などの敷料としても使われるようになって流通量が拡大(背景に刻みサイレージの普及等)、今日の相場が形成された。北海道内の産地は十勝、オホーツク、上川、空知管内などが中心だ。

 年間1万本の麦稈ロールを扱う道内の業者は今年産の出来について、「良品(A品)の発生は限定的。乳牛の敷料に適さない、カビ交じりの品質の劣るB品が多いようだ」との感触を口にする。

 要因は天候の影響につきる。この業者の場合、1年間に扱う麦稈ロールの約半数を7月中旬から3~4週間かけ、麦畑から牧場へトレーラーで直送するのが例年のパターン(残りの半分は9月以降に順次、市場へ)。しかし、今年はぐずついた天候が続いたせいで5週間以上もかかったという。

 これでB品の麦稈ロールが多く発生、カビ交じりのものも一部、流通している可能性が高い。ただ、この業者にいたっては1本1本、見た目だけでなく水分量も含め必ず検品を行い、乳牛の敷料に適したものを牧場へ配送している。

 関係者は「麦稈ロール(良品)の需給は今後、タイトとなりそうで、乳牛の敷料不足が懸念される。代替として、余剰分(販売用)などの自家産牧草を使うことにもなりかねない。カビ交じりのB品が一部、流通している可能性があり、この点も心配だ。敷料に使用すれば、乳牛の体調にとって良くない。乳房炎の原因にもなるので、麦稈ロール使用の際は、いつもされていると思うが、カビがないかチェックするなど気をつけてほしい」と話している。