毎月30日にコップ1杯の牛乳を飲む「牛乳で乾杯」が酪農家や消費者の間で徐々に広がっている。金谷牧場(千葉県)の金谷雅史さんが、牛乳の消費拡大を目的にⅩ(旧ツイッター)上で呼びかけ、7月から始まった取り組み。今月30日も夜8時~10時に実施を予定している。年末にはこの取り組みを通して、「オンラインで同時に牛乳で乾杯した最多人数」のギネス記録更新に挑戦したい考えだ。
「牛乳で乾杯」は、今年3月に農水省職員がⅩに投稿した「国民全員が追加で毎月コップ1杯(200㍉㍑)の牛乳を飲めば、(牛乳過剰問題の)状況が劇的に良くなる」という発言がきっかけ。6月ごろから酪農家らの間で始まり、7月からは金谷さんが音頭を取っている。関係団体や行政ではなく、酪農家が自らこうした消費拡大運動を企画・実施するのは極めて珍しい。
賛同者は毎月30日に、「乾杯!」「いただきます!」などと言いながらコップ1杯の牛乳を飲む。実施日を毎月30日に設定したのは「休日である日曜日が良いのでは」ということと、開始するにあたり直近7月の日曜日が30日だったため。いまは分かりやすいよう毎月30日に固定している。
金谷さんは賛同者に対し、牛乳で乾杯している画像や動画をⅩに投稿するよう協力を呼びかけている。7、8月の参加人数はX上の投稿数を見る限り100人超。酪農家のほか、他業種の農家など、酪農を応援している関係者の参加が目立つ。ヨーグルトマニアの向井智香さん(ヨグネット代表)も参加している。Ⅹに投稿していない人もいるため、実際の参加者はもっと多いとみられる。
金谷さんによると、不需要期となる11、12月には少し形を変えて取り組みたい考え。具体的には「オンラインで同時に牛乳で乾杯した最多人数」のギネス世界記録更新を検討している。これは中央酪農会議が今年3月末に、日本酪農が危機を乗り越えるための景気づけを目的に行ったイベントで、357人という新記録を打ち出している。
金谷さんは酪農乳業速報の取材に対し、「冬はいつも牛乳が余る(需給が緩和する)。年末にギネスに挑戦できれば、こうした問題を解決はできなくとも、解決に向けた前進にはなると思う。記録を更新し続けることが目的ではなく、月に1杯多く飲んでもらうことが、酪農家にとって本当に助かるということをもっともっと広めたい。協力してくれる人は連絡してほしい」と力を込めた。